AI×SEOで3つのメディアを構築し、150本以上の記事を公開した話
自社で3つのSEOメディアを立ち上げ、150本以上の記事をAIを活用して制作・公開した実践記録。使ったツール、記事の作り方、キーワード戦略、失敗と学びをすべて公開。
私たちFloat Engineeringは、自社で3つのSEOメディアを運営しています。記事の総数は150本以上。すべてAIを活用して制作しました。
「AIでSEO記事を書く」と聞くと、薄い記事を大量生産するイメージがあるかもしれません。実際、そういうメディアは山ほどある。しかし、私たちがやっていることはそれとは違います。
AIを「ライター」ではなく「制作パートナー」として使い、人間の業界知識とAIの速度を組み合わせる。このアプローチで、3つのまったく異なる領域のメディアを同時に回しています。
この記事では、その実践の中身をすべて公開します。
3つのメディアの概要
私たちが運営している3つのメディアは、それぞれターゲットも業界もまったく異なります。
| メディア | 領域 | ターゲット | 記事数 |
|---|---|---|---|
| Float Engineering ブログ | Web制作・AI導入 | 中小企業の経営者・担当者 | 23本 |
| あとしまつ ブログ | AI生成コードの本番化 | AI開発ツールのユーザー | 58本 |
| LITMUS ブログ | 新規事業検証 | 大企業の新規事業担当 | 70本 |
合計151本。すべて同じ技術基盤(Next.js + MDX)で構築し、同じワークフローで制作しています。
なぜ3つも運営しているのか。答えはシンプルで、ターゲットが違うから。
「AI生成コードのセキュリティリスク」を検索する人と、「新規事業の仮説検証方法」を検索する人は、まったく別の人間です。別の人間には、別のメディアで話しかける必要がある。
なぜ「AI×SEO」なのか
3つのメディアを1人の代表が並行で回せている理由は、AIの活用です。
AIなしで月に4本の記事を書くのはフルタイムの仕事。3メディア×月4本=月12本をAIなしで1人で書くのは不可能です。
AIに任せていること
- キーワードの展開: シードキーワードから関連語を洗い出す
- 記事構成の叩き台: H2/H3のアウトライン生成
- ドラフトの執筆: 構成に沿った初稿の生成
- 競合記事の分析: 上位表示記事の構造把握
AIに任せていないこと
- キーワードの最終選定: どのキーワードを狙うかは事業判断。AIは候補を出すが、選ぶのは人間
- 業界固有の知見: 「AI生成コードのここが危ない」「新規事業の稟議でこう言えば通る」——これは実務経験からしか出てこない
- トーンと人格: 「この会社は分かっている」と読者に感じてもらうためのニュアンス。AIの初稿はそのまま使わない
- 最終チェック: 事実確認、論理の飛躍、AIっぽい表現の除去
比率でいうと、AIが60%、人間が40%。 AIが初稿を書き、人間が仕上げる。この分業で、1人で月10本以上の記事を制作できています。
技術構成:なぜNext.js + MDXなのか
3つのメディアはすべて同じ技術スタックで構築しています。
| 技術 | 用途 |
|---|---|
| Next.js (App Router) | フレームワーク。静的生成でSEOに強い |
| MDX | 記事フォーマット。Markdownにコンポーネントを埋め込める |
| Tailwind CSS | スタイリング。デザインシステムを統一 |
| Turbo (モノレポ) | 3つのアプリを1つのリポジトリで管理 |
| Vercel | ホスティング。デプロイは git push だけ |
なぜWordPressを使わないのか
オウンドメディアといえばWordPress。しかし、私たちはあえてNext.jsを選んでいます。
理由1:速度。Next.jsの静的生成は、WordPressより圧倒的に速い。Core Web Vitalsのスコアが高く、SEOに有利。
理由2:コードベースの統一。3つのメディアが同じリポジトリにあるため、デザインシステム、コンポーネント、設定を共有できる。WordPressで3サイトを運営すると、それぞれ別管理になる。
理由3:AI連携のしやすさ。MDXファイルはただのテキストファイル。AIに「この形式で記事を書いて」と指示するだけで、そのままリポジトリにコミットできる。WordPressのエディタを経由する手間がない。
理由4:バージョン管理。すべての記事がGitで管理されている。誰がいつ何を変更したか追跡できる。記事の修正もPull Requestで管理できる。
ただし、これは私たちがエンジニアリング会社だから選べる構成です。クライアントのメディアを構築する際は、WordPressやヘッドレスCMSも選択肢に入ります。運用する人のスキルセットに合わせるのが正解です。
キーワード戦略:3つのメディアで何を狙っているか
各メディアのキーワード戦略は、ターゲットの「検索行動」から逆算しています。
Float Engineering ブログ(23記事)
狙い: 「開発を外注したい」と思っている人に見つけてもらう
キーワード例:
- Web制作 費用
- AI導入 中小企業
- 開発会社 選び方
- システム開発 相場
- ホームページ 問い合わせ 増やす
特徴: 比較検討系のキーワードを多めに。「費用」「選び方」「比較」で検索する人は、発注の検討段階にいる。
あとしまつ ブログ(58記事)
狙い: AI開発ツールを使っている人に「本番化の壁」を認識してもらう
キーワード例:
- AI コード セキュリティリスク
- Cursor 使い方
- Bolt.new ガイド
- Claude Code 開発
- AI プロトタイプ 本番化
- Vibe Coding
特徴: ツール名キーワードが強い。「Cursor 使い方」で来た人は、AIでコードを書いている人。その人に「でもセキュリティは大丈夫?」と問いかける記事構成。
LITMUS ブログ(70記事)
狙い: 大企業の新規事業担当者に方法論を提供し、「検証を外注する」選択肢を認識してもらう
キーワード例:
- 新規事業 仮説検証
- リーンスタートアップ
- デザインスプリント
- PoC 進め方
- 稟議 通し方
- ビジネスモデルキャンバス
特徴: フレームワーク系のキーワードが中心。「リーンキャンバスとは」で来た人に、リーンキャンバスの使い方を教えつつ、記事末尾で「検証を加速したいならLITMUSへ」と誘導。記事数70本は、このカテゴリで日本語ウェブのトップクラスの網羅性。
記事の作り方:具体的なワークフロー
1本の記事を作るのに、だいたい2〜3時間かかります。
Step 1:キーワード選定(15分)
- ターゲットの検索行動を想像する
- Googleサジェストで関連語を確認
- 上位5記事の内容と質をチェック
- 「この記事より良いものが書けるか」を判断
書けないと思ったら、そのキーワードは捨てる。勝てないところでは戦わない。
Step 2:構成作成(20分)
- AIに上位記事の構成分析を依頼
- 人間がH2/H3のアウトラインを確定
- 「このキーワードで検索した人が本当に知りたいことは何か」を考え、構成に反映
ここが最も重要なステップ。構成が悪いと、どんなに良い文章を書いても検索意図に応えられない。
Step 3:AIドラフト(30分)
- 確定した構成をAIに渡し、ドラフトを生成
- 「業界経験者が書いたような具体的な記事にして」と指示
- 数字、事例、比較表を含めるよう指定
Step 4:人間による仕上げ(60〜90分)
これが一番時間がかかる。AIのドラフトをそのまま公開することはありません。
やること:
- AIっぽい表現の除去(「重要です」「不可欠です」→具体的な理由に置き換え)
- 業界固有の知見を追加
- 自社の経験に基づくエピソードを挿入
- 論理の飛躍を修正
- トーンの統一(各メディアで声のトーンが違う)
- メタデータ(title, description, tags)の最適化
Step 5:公開(5分)
MDXファイルをリポジトリにコミットし、デプロイ。Next.jsの静的生成で、push後数分でライブに。
何がうまくいって、何がうまくいかなかったか
150本以上書いた中で、成功と失敗の両方がありました。
うまくいったこと
1. ツール名キーワードの効果
あとしまつブログの「Cursor 使い方」「Bolt.new ガイド」系の記事は、公開後比較的早く検索流入が来ました。理由は明確で、これらのツールは新しく、まだ日本語の解説記事が少なかった。新しいツールが出たら、すぐに解説記事を出す。このスピードがSEOで勝つコツ。
2. フレームワーク系記事の蓄積効果
LITMUSブログの70本は、個別では小さな流入しかない記事も多い。しかし70本が蓄積すると、サイト全体の「新規事業検証」というトピックでの権威性が上がり、個別記事の順位も底上げされた。SEOの「トピカルオーソリティ」が実際に機能する場面を体験しました。
3. MDX + Git の運用効率
記事の修正がGitのdiffで確認できる。「この記事のCPA数値を更新して」というタスクが、ファイルを開いて数字を変えてcommitするだけ。CMSのログイン、エディタ起動、保存、公開という手順がない。150本の記事をメンテナンスする上で、この効率差は大きい。
うまくいかなかったこと
1. 最初のAIドラフトの品質問題
初期は、AIのドラフトをほぼそのまま公開していた時期がありました。結果、「AIが書いたっぽい記事」が何本か生まれた。具体性がなく、どのサイトでも書けるような一般論。これらの記事は検索順位がつかなかった。
学び:AIの初稿は叩き台であり、完成品ではない。人間の仕上げ工程を省略すると、品質が落ちる。
2. 記事数の追求による品質のばらつき
「月10本以上」を目標にしていた時期、品質のばらつきが出ました。5本の良い記事と5本の普通の記事なら、5本の良い記事だけの方がサイト全体のSEO評価は高い。
学び:Googleは「薄い記事が多いサイト」を評価しない。月の本数を減らしてでも、1本あたりの質を上げるべき。
3. 内部リンク設計の後回し
記事を書くことに集中し、記事間の内部リンクを後回しにしていた。結果、関連記事への導線がない「孤立した記事」がたくさんできた。SEOでは内部リンクが重要で、後から一括でリンクを張り直す作業が発生した。
学び:記事を公開する時点で、既存記事への内部リンクを入れる。これをワークフローに組み込む。
この経験が、リード課金型メディア制作サービスにつながった
3つのメディアを自社で運営してわかったことがあります。
SEOメディアは効く。ただし、運用体制がないと続かない。
私たちはエンジニアリング会社なので、Next.jsでメディアを構築し、AIで記事を書き、Gitで管理するワークフローを自分で作れた。でも、多くのBtoB企業にはこのスキルセットがない。
「オウンドメディアをやりたい」と思っても、企画→構築→記事制作→SEO→運用のすべてをカバーするリソースがない。だから、半年検討して結局始められない。
ならば、私たちが持っている「AI×SEOの制作体制」を、そのまま他社に提供できないか。
これが、リード課金型メディア制作サービスの原点です。
- メディアの構築は、自社の3メディアと同じ技術スタックで行う
- 記事制作は、150本以上の実践で磨いたAI×人間のワークフローで行う
- 運用は、私たちが日常的にやっているのと同じ方法で回す
- クライアントのドメインに構築するので、SEO資産はクライアントに蓄積される
- リード課金型にすることで、成果が出なければコストを最小限にできる
私たちは理論でこのサービスを設計したのではありません。自分でやって、うまくいった方法を、そのまま提供している。
まとめ
- 3つのメディアで150本以上の記事をAI活用で制作
- AIは制作速度を3倍にするが、品質の仕上げは人間にしかできない
- Next.js + MDX + Git の構成で、3メディアを1人で運用可能
- キーワード戦略はターゲットの検索行動から逆算する
- 記事の蓄積がサイトのトピカルオーソリティを形成し、個別記事の順位を底上げする
- 品質のばらつきと内部リンクの設計が最大の課題だった
この経験をもとに、同じ仕組みを御社のドメインで構築・運用するサービスを提供しています。
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