マーケ部門がない会社のリード獲得術 — 5つの選択肢と判断基準

マーケティング専任がいない従業員10〜300名のBtoB企業が、限られたリソースでリードを獲得するための5つの方法。それぞれの費用・工数・成果スピードを比較し、自社に合った方法の選び方を解説。

従業員30人。マーケティング専任はゼロ。営業が5人。

リードが足りないのはわかっている。でも、誰がマーケティングをやるのか。営業部長がテレアポの合間にブログを書く? 社長がLinkedInに投稿する?

従業員10〜300名のBtoB企業で、マーケティング専任がいない会社は多い。というより、大多数がそうだ。総務がWebサイトを管理し、営業部長が広告を回し、社長が展示会に出る。「マーケティング」という名のつく人は社内にいない。

そういう会社のリード獲得を、この記事ではまっすぐ扱います。「マーケ部門を作りましょう」は正論だが、今すぐできない企業がほとんど。今あるリソースで、今すぐ始められる方法を5つ並べます。

前提:「マーケ人材を採用する」が最適解とは限らない

マーケティング人材の採用を考えたことがある経営者は多いはず。しかし、現実はこうです。

  • BtoBマーケティング経験者の採用は競争が激しい。年収600万〜800万円が相場
  • 採用しても、その人が「SEO」「広告」「コンテンツ」のすべてをカバーできるとは限らない
  • 採用から成果が出るまでに6〜12ヶ月。その間の人件費は固定で発生する
  • そもそも、1人で回せる範囲には限界がある

「優秀なマーケターを1人雇えば解決する」は幻想です。

では、どうするか。5つの選択肢を、費用・工数・成果スピードで比較します。

選択肢1:営業チームの活動をリード獲得に変換する

費用: ほぼゼロ(既存リソースの転用) 工数: 中(営業プロセスの見直しが必要) 成果スピード: 1〜2ヶ月

今ある営業活動の中に、リード獲得のネタは埋まっている。

具体的なアクション:

  • 商談で出た質問をFAQコンテンツにする。 「御社のサービスと他社の違いは?」「導入にどのくらいかかる?」——営業が毎回答えている質問を、Webサイトに載せる。それだけで検索流入が生まれる
  • 既存顧客からの紹介を仕組み化する。 「紹介してください」と口頭で頼むのではなく、紹介しやすいメールテンプレートやLP を用意する
  • 名刺交換した相手にメルマガを送る。 展示会やセミナーで交換した名刺が机に眠っていませんか。月1回のメルマガで接点を維持するだけで、半年後に問い合わせが来る

一番大きいのは、営業が持っている業界知識をコンテンツにすること。営業は毎日顧客と話している。その会話の中に、検索ユーザーが知りたい情報がある。

選択肢2:比較サイトに掲載する(リード課金型)

費用: 1リード3,500〜15,000円 工数: 低(資料を用意するだけ) 成果スピード: 1〜2週間

BOXIL、ITreview、メディアレーダーなどの比較サイトに自社サービスの資料を掲載し、ダウンロード課金でリードを獲得する方法。

メリット:

  • マーケの専門知識がなくても始められる
  • 最短1〜2週間でリードが届き始める
  • 社内工数はほぼゼロ

注意点:

  • 競合と並列表示される。資料の質で差別化が必要
  • 「とりあえずDLした」層も含まれるため、リードの質にばらつきがある
  • 止めたらリードもゼロ。掲載している間だけの効果

「今すぐリードが欲しい」「まず数を確保したい」なら、最も手っ取り早い方法です。

選択肢3:ウェビナー・オンラインセミナーを開催する

費用: Zoomの有料プラン月2,000円 + 告知広告(任意) 工数: 高(企画・資料作成・集客・運営) 成果スピード: 2〜4週間

BtoB企業の60%以上が「ウェビナーで商談機会を創出できた」と回答しているデータがある。特にSaaS、コンサルティング、研修など「知識を売る」業態との相性が良い。

メリット:

  • 参加者は自ら申し込んでいるので、関心度が高い
  • 「30分のミニセミナー」なら、準備も運営も1人で回せる
  • 録画をアーカイブとして再利用できる(リード獲得の仕組みになる)

注意点:

  • 集客が最大のハードル。最初はSNSやメルマガで自社の人脈に声をかけるところから
  • 「売り込みセミナー」は嫌われる。参加者にとって有益な情報を提供することが前提
  • 継続が難しい。月1回を半年続けられるかが分かれ目

営業部長が「業界の課題と解決策」をテーマに30分話すだけでも、立派なウェビナーになる。完璧を目指さない。まず1回やってみる。

選択肢4:リスティング広告を最小予算で回す

費用: 月10万〜30万円 工数: 低〜中(初期設定と月次調整) 成果スピード: 即日

マーケの専任がいなくても、リスティング広告は回せる。Google広告の管理画面は年々わかりやすくなっている。

最小構成:

  • 月予算10万円
  • ターゲットキーワード5〜10個
  • ランディングページ1枚(問い合わせフォーム付き)
  • 月1回の入札調整とレポート確認

メリット:

  • 今日出稿して、明日リードが届く。最も即効性がある
  • 予算をコントロールしやすい。日予算を設定すれば予算超過しない
  • データが取れる。「どんなキーワードで流入し、どのページで離脱したか」がわかる

注意点:

  • 止めたらリードもゼロ。広告は消費であり、資産にならない
  • CPAは年々上昇傾向。同じ予算で取れるリードは減っていく
  • 月10万円で月3〜5件程度(CPA3万円の場合)。大量獲得には向かない

広告は「今すぐリードが必要」なときの応急処置。長期戦略ではなく、短期施策として使う。

選択肢5:SEOメディアを外注する(リード課金型)

費用: 月額5万〜10万円 + リード課金 工数: 極低(ヒアリング月1回のみ) 成果スピード: 3〜6ヶ月

自社のドメインにSEOメディアを構築し、検索流入からリードを獲得する仕組みを、外注で作る方法。構築・記事制作・SEO運用はすべて外注先が行い、御社はリードを受け取るだけ。

メリット:

  • マーケの専門知識もリソースも不要。月1回のヒアリングだけ
  • 記事が蓄積されるため、時間が経つほどリード単価が下がる
  • SEO資産は御社のドメインに蓄積。止めても記事は残る
  • 初期費用0円。リードが届かなければ月額のみ

注意点:

  • SEOの特性上、最初のリードが届くまで3〜6ヶ月かかる
  • リード課金型のサービス提供者はまだ少ない
  • 業界によっては検索ボリュームが不足し、成立しないケースもある

「今すぐは急がないが、半年後から安定的にリードが欲しい」企業に最適。選択肢2や4でつなぎながら、並行で始めるのが現実的です。

5つの選択肢を比較する

選択肢月額コスト社内工数成果まで資産性マーケ知識
① 営業活動の転換ほぼ0円1-2ヶ月不要
② 比較サイト掲載3.5万〜15万円極低1-2週間なし不要
③ ウェビナー0.2万円〜2-4週間少し必要
④ リスティング広告10万〜30万円低-中即日なし少し必要
⑤ SEOメディア外注5万〜10万円+α極低3-6ヶ月不要

「どれか1つ」ではなく「組み合わせ」で考える

5つの選択肢は、排他的ではありません。フェーズに応じて組み合わせるのが正解です。

今すぐ(0〜3ヶ月):

  • ①営業活動の転換 + ②比較サイト掲載
  • 追加予算があるなら④リスティング広告
  • まず「リードが来る体験」を作る

中期(3〜6ヶ月):

  • ⑤SEOメディア外注をスタート(構築・記事制作開始)
  • ③ウェビナーを月1回試す
  • ①②④は継続

長期(6ヶ月〜):

  • ⑤SEOメディアからリードが来始める
  • ②④の依存度を段階的に下げる
  • 最終的に⑤が主要チャネルになり、②④は補完的に使う

この「段階的な切り替え」が、マーケ部門がなくても持続可能なリード獲得体制を作る最も現実的な方法です。

よくある質問

まず何から始めるべき?

一番速いのは②比較サイト掲載。資料を用意して掲載するだけ。1〜2週間でリードが届き始める。「リードが来る」という体験を早く作ることで、社内の理解も得やすくなる。

月10万円しか使えない場合は?

⑤SEOメディア外注(リード課金型)が最も現実的。月額5〜10万円で始められ、成果が出てからリード課金が加わる構造。ただし成果まで3〜6ヶ月かかるため、並行で①営業活動の転換を進める。

いつかは社内にマーケ担当を置くべき?

従業員50名を超えたあたりで検討する価値はある。ただし、いきなり専任を採用するより、まず外注で仕組みを作り、その仕組みの運用を引き継ぐ形で採用する方が失敗が少ない。

まとめ

マーケ部門がないことは、ハンデではあるが致命的ではない。

5つの選択肢の中から、御社の予算とリソースに合ったものを選び、組み合わせて回す。「今すぐ」は比較サイトか広告で確保し、「半年後」のためにSEOメディアを仕込む。

完璧なマーケティング体制を作ってから始めるのではなく、今あるリソースで今日始められることから着手する。それが、マーケ部門がない企業のリード獲得の現実解です。

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